園児数30人未満の超小規模園で働く保育士の実態

近年、地域に根ざした保育園や、家庭的な雰囲気を大切にした小さな園が増えています。特に、園児数が30人未満の「超小規模園」は、家庭のような温かさが魅力で、働く保育士にとっても大規模園とはまた違ったやりがいを感じられる職場です。ここでは、そんな超小規模園で働く保育士の実態について、日々の雰囲気やメリット・課題をやわらかくお伝えしていきます。
家庭的な雰囲気の中での保育
園児数が少ない分、子ども一人ひとりとじっくり向き合えるのが小規模園の特徴です。大規模園ではどうしてもクラス単位での活動が中心になりますが、超小規模園では「今日は○○ちゃんの気分がちょっと沈んでいるな」「△△くんが最近できるようになったことを保護者に伝えてあげたい」など、細やかな気づきを大切にできます。
子どもたちにとっては、先生が常に近くにいる安心感があり、家庭に近い距離感で過ごすことができます。そのため「園は第二の家庭」と感じられるほど温かい雰囲気に包まれている園も少なくありません。
保護者との関わりも濃くなる
超小規模園では、保護者との距離も自然と近くなります。お迎えの際に「今日はこんなことができたんですよ」「お昼ご飯は全部食べました」など、一人ひとりについて丁寧にお話しできる時間が持てます。
その分、信頼関係も築きやすく、相談を受ける機会も増えます。例えば「トイレトレーニングを始めたいけれど、園ではどうしていますか?」や「夜泣きが続いて困っています」など、家庭と園が一緒になって子育てを支える場面も多くあります。
保護者からの「先生にお願いしてよかった」という言葉は、保育士にとって大きなやりがいにつながります。
保育士同士のチームワーク
大規模園では職員数が多いため、役割分担がしっかり決まっています。一方、超小規模園ではスタッフの数も限られているため、「みんなで協力して園を支える」雰囲気があります。
掃除や書類作成、製作物の準備なども分担しつつ、互いにフォローし合うことが欠かせません。時には園長先生も一緒に子どもたちと遊んだり、保育に入ったりする場面もあり、上下関係よりも「家族のようなチーム」という感覚で働ける職場が多いのも特徴です。
ただし人数が少ない分、一人の負担が大きくなってしまうこともあります。例えば体調不良で休む人が出ると、すぐにシフト調整が必要になり、他の職員がカバーすることになります。そのため、お互いの理解と柔軟さがとても大切になります。
行事の形も小規模ならでは
運動会や発表会といった行事も、超小規模園では規模が小さめです。園児数が少ないため、全員で一つの演目をつくりあげるような温かい雰囲気になります。
大規模園のように華やかで大人数の発表はできませんが、そのぶん「ひとりひとりが主役」として輝けるのが魅力です。子どもの成長を間近で感じられるのは、保育士にとって大きな喜びです。
また、準備や運営の負担も比較的少なく、先生たちが子どもたちと一緒に楽しみながら行事を進められるというメリットもあります。
超小規模園で働くメリット
小規模園で働く保育士には、いくつかの大きな魅力があります。
- 子ども一人ひとりに丁寧に関われる
- 保護者との信頼関係が築きやすい
- 職員同士がアットホームな雰囲気で働ける
- 行事が子ども主体で温かいものになりやすい
こうした環境は「子どもに寄り添う保育がしたい」「家庭的な雰囲気で働きたい」という保育士にとって理想的な職場といえるでしょう。
超小規模園での課題
一方で、課題も少なくありません。まず挙げられるのが、人員不足による負担です。職員数が限られているため、ひとりが休むと業務が一気に増えてしまいます。また、異年齢保育が中心になる園も多く、幅広い発達段階に対応する力が求められます。
さらに、大規模園に比べて給与や福利厚生が充実していないケースもあり、働きやすさは園によって差が大きいのが実情です。
求められる保育士像
超小規模園で活躍するためには、柔軟さとコミュニケーション力が欠かせません。限られた人数の中で協力して働くため、ちょっとした思いやりや気配りがとても大切になります。また、子どもだけでなく保護者とも密に関わるため、人との関係を大事にできる保育士が向いているといえるでしょう。
まとめ
園児数30人未満の超小規模園は、大規模園にはない温かさと魅力にあふれています。子どもたちにとっても、保護者にとっても、そして保育士にとっても「家庭に近い安心感」がある場であり、働きがいを強く感じられる環境です。
もちろん、少人数ゆえの課題や負担もありますが、それを超える「子ども一人ひとりとじっくり向き合える喜び」があるのも事実です。
もし「子どもたちと深く関わりながら保育をしたい」「家庭的な園で温かい時間を過ごしたい」と思っているなら、超小規模園はとても魅力的な選択肢になるでしょう。